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アダム・グラント『GIVE&TIKE 「与える人」ほど成功する時代』

読書記録『GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代』
GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代 - Amazon
〈三笠書房、2014年(原書は2012年初版)〉

長く続くコロナ禍。
人の様々な醜さが露わになって、うんざりしている人も多いのではないでしょうか?

「自分だけはトイレットペーパー、マスクを手に入れたい」
「自分が感染しないために、他の人を傷つけてでも排除したい」
「他の人を切ってでも、自分の利益だけは確保したい」
「政権が躓いてる中で自分の政治的発言力を強化したい」

もちろん窮状に置かれて泣く泣く…という人もたくさんいますが、一方で「自分さえ良ければ」と奪う人(テイカー)の姿がたくさん目について、なんだか疲れる。

「東日本大震災の時、日本人はみんなで助け合い、素晴らしかった!」
「ラグビーW杯の時、日本はワンチームになった!」

ああやって言ってたのはなんだったんだろう?
結局この世は「ギブ&テイク」。自己中心的で押しが強いテイカーが勝ってしまうのだろうか?
そして、自分もテイカー的な考え方をしないと生き残れないのだろうか?

でも、ご安心を。
実は与える人(ギバー)が強いのです。

「『与える人』こそ成功する」。
これを科学的に解説し、どう振舞っていけば良いか指針を示してくれるのが、本書です。

全米トップ・ビジネススクール「ウォートン校」の史上最年少終身教授でもあり、気鋭の組織心理学者が教えるビジネスの成功の秘訣。

「ギバー(人に惜しみなく与える人)」
「テイカー(真っ先に自分の利益を優先させる人)」
「マッチャー(損得のバランスを考える人)」

もっとも成功するのは誰だろう。

他人に優しくしていたら、厳しい競争を勝ち抜けない?――それは大きな誤解だ。
これからは、他者志向の思いやりの発想とコミュニケーションが、あなたの仕事に大きな成功をもたらす。

リーダーシップ、営業、交渉、事業の立ち上げ、昇進まで……ありとあらゆるシーンでこの考え方が役に立つだろう。

(三笠書房のページより引用)


§著者
著者のアダム・グラント氏は、組織心理学者。
ペンシルバニア大学ウォートン校の教授で、学校史上最年少で終身教授になった方だそうです。ウォートン校は世界的に最も高い評価を受けているビジネススクールで、2021年現在でも39歳の若さだそうですから、恐ろしいぐらい優秀な方ですね(^o^;;)

当然、TED Talksにも出演。下の動画で本書のエッセンスの一部を語っています。

日本語版で出ている著書としては、本書の他に『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代 (単行本)』(三笠書房)があります。

§構成
本書のざっっっくりとした構成は以下の通り。
PART1 あなたは、まだ「ギブ&テイク」で人生を決めているのか

ギバーには成功に最も近い人と最も遠い人がいる。

成功するギバーのコミュニケーションには4つの特徴があるよ!

PART2 「名刺ファイル」と「フェイスブック」を見直せ

特徴①「人脈づくり」

多くの人に与えるから広くゆるくつながれる。「ゆるいつながり」が新しい情報をもたらしてくれる。

PART3 チームの総力を活かせる人

特徴②「協力」

チーム全体の利益を大きくしようとするから、信頼されるし、結果が出る。

PART4 荒野で〝ダイヤモンド〟を見つける方法

特徴③「人を育てる」

やる気がある人なら、どのレベルの人にも惜しみなく与えるから、相手が育つ。人は才能よりも、信頼されると成長する。

PART5 「パワーレス」の時代がはじまった

特徴④「影響力」

弱みを見せ、相手に質問をし、控えめに話し、アドバイスを素直に求めるから、好感を持たれ聞く耳を持ってもらえる。

PART6 「与える人」が気をつけねばならないこと

ギバーが成功しない例①燃え尽きやすい

自分自身も思いやろう。与える喜びが実感できるまとまった時間を作り、困った時は助けを求めよう。

PART7 気づかいが報われる人、人に利用されるだけの人

ギバーが成功しない例②利用されてバカを見る

テイカーにはマッチャーで臨め!ギバーは「誰かのために」と思うと、ちゃんと主張できる。

PART8 人を動かし夢を叶える「ギブの輪」

みんながギバーとして振る舞える場は作れる!

ギブを見えるようにし「他の人が与えている」という状況を作れば、人はギバーとして振る舞うようになる。

PART9 「成功への道」を切り拓く人たち

「成功」=「個人の業績+他人への貢献」という新たな価値観へ動き出そう!


下でもう少し詳しく見てみましょう。

一般的な「ギバー」のイメージは、「人としては好感を持てるけど、ビジネスの場じゃ『バカを見るお人好し』」なんじゃないでしょうか。確かにそういう人たちもいます。
しかし、一方で成功している人たちで最も多いのもギバーなのです。

成功するギバーには、4つのコミュニケーションで特徴があると著者はいいます。
それは「人脈づくり」「協力関係」「人を育てる」「影響力」の4つ。



①「人脈づくり」(PART2)
ギバーは見返りを気にせず、多くの人に与えるので「一度(何度か)力を貸したことがある」人がたくさんいます。
この「昔力を貸した」くらいの「ゆるいつながり」が大事で、日常的に会う人との「強いつながり」の中だと、大体出会う情報も似たようなものばかりになってきますよね?

ところがしばらく音信が途絶えている「ゆるいつながり」だと、その間に相手の状況が変わっていることが多いので、久しぶりに連絡を取ると、思いも寄らない新しい情報がもたらされることが多いのだとか。

それに相手は「昔助けてもらった」と恩を感じているので、ギバーに助けを求められると気持ちよく力を貸してくれます。



②「協力関係」(PART3)
テイカーやマッチャーは、チームの中の利益や役割を取り合おうとしますが、ギバーは、チーム全体の利益を大きくするのが大事と考えています。人に譲ったり、雑用を進んでこなしたりすることを厭わないので、良い協力関係を作れます。

人間関係には「信用口座」と呼べるものがあるそうです。
信用が貯まっているほど大胆で挑戦的な提案も受け入れてもらえやすくなるのだとか。他者を助けまくっているギバーは、信用がめちゃくちゃ貯まっているので提案が通りやすくなります。



③「人を育てる」(PART4)
人を成長させる要因は才能ではなく、実は「期待されている」と感じることなのだそうです。
確かに「君は将来必ず素晴らしい人になるよ」と言われ続けた方が頑張れる気がしますよね?

そうして「やる気」になって努力を続けた人が結果的に成長するわけで、結局成長するために大切なのは「やる気」や「根気」。
そして、人を育てるギバーは、相手に才能があるかは考えず、「やる気」があるかで人に着目し、誰にも惜しみなく与えるので、相手の「やる気」を喚起し続け成長させることができます。



④「影響力」(PART5)
テイカーなら強い言葉と態度(パワー)で相手に影響力を行使しようとします。
しかし、これは反発を招きやすいですよね?

一方、ギバーは自分の評判よりも相手の利益を優先します。
だから、自分の弱さを見せるのを躊躇わないし、相手が何を求めているかを質問します。また相手から素直に学びたいと思うので、アドバイスを求めることも。
そして、質問や提案をするときには「と思いますが、どうでしょう?」「ええっと…」などのような控えめな言葉を使いがち。

一般的に交渉ごとに有利だとされる「押しが強い」タイプではないのですが、相手からしてみると「控えめでいい人だな」「自分の意見に耳を貸そうとしてくれている」と好感を持たれるので、相手もギバーのいうことに耳を貸しやすくなります。
実は「押しが強い」テイカーよりも、「控えめな」ギバーの方が交渉ごとには有利なのです。



4つのコミュニケーションで共通しているのは、ギバーが「相手の利益を考え、全体の利益を大きくする」ために動いていること。
ギバー自身は見返りを期待してやっていることではないのですが、信頼を獲得でき、巡り巡って成功に有利な状況を作り出せるのです。
まさに「情けは人の為ならず」ですね。


なるほど、ギバーが成功しやすいのは分かった。
でも一方で「バカを見るお人好し」で終わってしまうギバーがいるのはどうしてなの?
「バカを見るお人好し」ギバーと成功するギバーの違いってなんなの?

この本書の核となる疑問「ギバーがバカを見ないためにはどうすれば良いのか?」について解説したのが、続くPART6と7です。



まず、ギバー自身の問題として「燃え尽きやすい」という問題があります。(PART6)

他人の利益を優先しがちなギバーは、「自己犠牲」に陥りやすいのです。
自分の精神を削りながらでも与えてしまうので、燃え尽きてしまうのです。

これに対して、成功するギバーは、他人の利益はもちろんですが、自分自身の利益のことも忘れてはいません。
自分自身を労りながら、それを侵さない範囲で与えるので精神を保ちやすくなります。
こうしたギバーたちの傾向を「他者志向」と著者は呼んでいます。

「自己犠牲」のギバーは、求められる度に与えようとするため、労力と集中力を分散させてしまい、すり減っていきます。
一方、「他者志向」のギバーは、与える機会をまとめてしまいます。
与える行為はまとめて長時間やるほど、喜びを感じやすくなるのだそうです。「他者志向」のギバーは、与える行為をまとめてやることで「自分が楽しいから与えている」という感覚になりやすく、気力を回復させやすいのです。

また「自己犠牲」のギバーは、自分一人で抱え込む傾向にありますが、「他者志向」のギバーは、苦しい時に他人へ助けを求めることができます。
このように「自分が潰れていっていないか?」「自己犠牲的になっていないか?」をちゃんと見極めながら与えることが、大切なのです。



そして、ギバーが躓きやすい外的要因は「テイカーに食い物にされる」ことです。(PART7)

そのためにはまず、相手がテイカーであるかを見抜く必要がありますよね?
テイカーを見抜くには相手の「考えていること」にフォーカスすると良いそうです。つまり相手が「何を利益と考えて動いているか」を観察すると自ずとテイカーであることが分かってきます。

相手がテイカーであると分かったなら?
成功するギバーは、テイカーに対してはマッチャーとして振る舞います。
つまり相手が何かを奪おうとしてきたら、それ相応の「お返し」を要求するわけです。例えば相手が報酬を高く要求してきたら、相応の成果を出せと返すというような具合です。

ただし、ずっと「お返し」を要求するとギバーの望まない利益の取り合い合戦になってしまいますよね?
なので3回に1回はギバーに戻ります。与えてみて、相手がまた奪おうとしてくるか、やめるかを見極めるのです。

でも、ギバーって「控えめな」人たちだったのじゃないの?そんな要求できるの?
ギバーの人たちがはっきり主張するには、「誰かのために」と思うことが効果的。「自分のために」と考えるとギバーは尻込みしてしまいますが、「自分がちゃんと主張しないと誰かが困る」という風に考えるとその気質にフィットして、主張すべきことを言いやすくなるそうです。



なるほど、ギバーが成功する戦略も分かりました。
しかし、ギバーって誰でもなれるものなのでしょうか?

自分一人のことなら、ここまで書いてきたことを気に掛ければいいけれど、できればみんながギバーとして振る舞えたら幸せだろうになあ…。

大丈夫。テイカーであっても、マッチャーであっても、ギバーになれてしまうコミュニティを作ることは可能であると著者は説いています。(PART8)
「他の仲間がギブしている」場を作れば、人は影響されてギバーとして振る舞うようになるそうです。
そして、信念は行動に影響されるので、ギブしているうちにギバーに変わることができるのだとか。



「自分も仕事で成果を上げ、他の人たちの成功にも貢献する」
これがギバーによる新しい時代の「成功」の価値観です。
この「成功」に向かって行動してみませんか?と最後に著者は説いています。(PART9)



§感想
だいぶ前のベストセラーである本書は、ネット上に要約記事や動画がたくさん出回っています。
存在自体は知っていたよ、という方も恐らく多いのではないでしょうか。

本記事も自分用の整理を兼ねて、だいぶ長く書いてしまいましたが、それでも実際に手に取ってみる価値のある本だと思います。
ギバーの行動がもたらす効果について、随所に心理学の研究を引いて分かりやすく解説してくれているのですが、この心理学的な知見が結構面白く、参考になるものが多いからです。

また、記事冒頭の話に戻ると、ギバーが結局は成功しやすいという事実、本書の中で紹介されている成功したギバーたちの例を見ると、個人的には少しほっとした気持ちになりました。
仕事やニュースで殺伐とした気持ちになっている人には、「癒し」の本にもなると思います。

成功したギバーに心癒され、自分も少しでもギバーとして振る舞ってみよう。科学の書でありながら、そんな風に思わせてくれます。
著者によると、ギバー、テイカー、マッチャーは「そう振る舞っている時間が長い人」程度の分類だそうで、人は場面によってギバーになったり、マッチャーになったり、テイカーになったりしているそうです。本書内でもテイカーとして振る舞っていた人が、成功するギバーになった例が紹介されています。

そう、誰でもギバーになることは可能なのです。

ただ、一つだけ気をつけなければならないのは、本書を読んで「ギブがこれだけの得をもたらすんだ」と思って行動すると、それはギバーではないというところ。
何かを得たいと思って、ギブするのはマッチャーの価値観ですからね。
それに「下心」は必ずバレるとも著者は言っています。

ギバーが成功する理由を理屈で理解しながら、成功することを期待してはいけない。
そう書くとちょっと禅問答のようで難しく感じちゃいますが(笑)、単純に「成功したギバーたちのように、人を気持ちよく助けながら生きられたら素敵だな」くらいの感覚で実践してみるのが一番良いのかもしれません。

僕自身もマッチャーだと思うので(※大部分の人はマッチャーだそうです)、これからは「見返りを期待せず人の手助けをする」「助けたいから、楽しいから助ける」を意識して実践していきたいと思っています。

theme : 読書記録
genre : 小説・文学

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